温と冷のメリットを併せ持つ温冷療法が、人を元気にし、より早い回復をもたらします。
温冷療法の、熱くも冷たい真実
運動をしていて、けがを経験したことがあれば、「患部を冷やす」または「温める」というやり方をご存じかと思います。しかし、そんな温熱療法や寒冷療法は、メリットが大きい一方で誤解されている面も多いようです。
万能療法、つまりすべての痛みや苦しみを解消し、しなやかで生き生きとさせてくれる方法があればよいのですが、残念ながらそのようなものは存在しません。そこで温冷療法の登場です。温と冷のメリットを併せ持っているため、人を元気にし、より早く回復させてくれるのです。
温冷療法とは?
温冷療法とは、「温める」と「冷やす」を交互に行うことにより、けがや病気の治癒を促したり、身体機能を維持したりするものです。現在アスリートの間で脚光を浴びていますが、決して新しい療法ではありません。形こそ変わってきていますが、実に数百年にわたって実践されてきた療法なのです。重要なのは、「冷やす(寒冷療法)」と「温める(温熱療法)」は、それぞれ異なる症状の改善に対して効果があることを理解することです。そして両者を融合することで、痛みの緩和だけでなく、広範なメリットを得られるのです。
そのいくつかを詳しく見てみましょう。
温熱療法
熱には、肌に浸透し皮下組織に働きかける優れた性質があります。温熱療法は2つのタイプに大別されます。ひとつはカイロや温熱パック、温水を利用して体表部を温めるもので、もうひとつは、短波やマイクロ波、超音波を利用して深部組織に直接熱を作用させるものです。
温熱療法には、(非常に心地が良い以外にも)多くのメリットがあります。
- 炎症や組織の充血を抑える
- 関節のこわばりをやわらげる
- 筋肉のけいれん、捻挫、疲労を軽減する
- 睡眠の質や血流を改善する
- デトックスして身体をクリーンにする
- 可動域を拡大する
- 加齢を緩やかにする
温熱療法は肉離れや筋肉の損傷、関節痛など筋骨格系外傷の処置に適しています。
寒冷療法
反対に、寒冷療法は衝撃による負傷に適しており、エクササイズ後の回復を早める効果があります。そして温熱療法と同様に、寒冷療法にも複数のタイプが存在します。アスリートに人気なのは水風呂です。アイスパックは局所的な負傷の処置に適しています。また冷たいシャワーを浴びるだけでも十分な寒冷療法効果が得られるケースもあります。
ここで寒冷療法のメリットをいくつかご紹介します。
- 新陳代謝を促進する
- エネルギーレベルが向上する
- 免疫反応を改善する
- エクササイズ後の回復が早まる
- 睡眠の質が改善される
- 集中力が高まる
- 腫れが治まる
温冷療法のABC
温冷療法のメリットをフルに享受する方法をご紹介しましょう。最も重要なのは、温と冷をローテーションで行うことです。最初に患部を冷やします。冷たいシャワーや水風呂、氷嚢でも構いません。患部が冷えたら今度は温熱療法に切り替えます。カイロや温熱パックをあてたりサウナや温かいお風呂に入ったりして、血流を促してください。このサイクルを3回繰り返し、最後は必ず寒冷療法で終わるようにします。
お試しになる前に知っておいていただきたいのは、温冷療法は万人向きではないということです。妊娠中の方、心臓に問題のある方、高血圧の方、腎臓病の方は、温冷療法を避けてください。これらに限らず、新たな療法をお試しになる前には、医療従事者にご相談になることをお勧めします。